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話をしている間に4人は王宮に到着した。クラムが言う。
クラムー「こちらがリニツィオルーチェ王国の王宮でございます。」
王宮をしたから上へと眺めてからビルが言う。
ビルー「すっげー!なんだこれ、こんな馬鹿でかいもの人がつくったのか!?王国ってのはやることがいちいちすげーな!」
驚いているのはビルだけでない。イルやユウも初めて見る王宮に驚きを隠せない。しばらくしてクラムが声をかける。
クラムー「それではこれからみなさまを”王の間”へとご案内いたします。」
クラムを先頭に王宮の中心部にある”王の間”へと向かっていく。
<王宮の中心部”王の間”>
王宮をしばらく歩くと目の前に大きな扉が現れる。その扉を開いて中に入ると目の前に王が座っていた。王の間に到着したのだ。4人が入ってくるやいなや、王が口を開く。
王ー「クラム、あれほど国の外には出るなと行ってあっただろう。なぜ私との約束は守れないんだ!」
いきなりの怒鳴り声に4人はびっくりした。王に対してクラムがうつむきながら答える。
クラムー「父上、申し訳ございません…。」
クラムの反省が見えたところで王は再び口を開く。
王ー「まあいい、無事で何よりだ。それはそうとお前たち3人の話は聞いている。娘を助けてくれたそうじゃないか。感謝する。」
王は続ける。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「改めて、私の名は”インナウ・リニツィオルーチェ12世”だ。この国の国王をしている。皆の名を教えてくれ。」
王がそう言うとイルたちは順番に名前を名乗りだした。
イルー「私はイルです。」
ユウー「俺はユウだ。」
ビルー「ビルだ!」
全員が名前を名乗ったところで、王が言う。
インナウ・リニツィオルーチェ12世(王)ー「イルにユウにビルだな。改めてこの度は娘を助けてくれ、感謝する。3人には褒美を授けよう。少ないが足しにしてくれ。」
そう言うと王の使いのものから3人にお金が支払われた。金額は1人500ルウ。この国での1回の食事が3ルウほどであることから、少ないといいながらかなりの大金であることがわかる。
思わずビルが言う。
ビルー「(…こんなに。)王様、これは本当に俺たちがもらっていいのか?」
ビルの質問に王が答える。
インナウ・リニツィオルーチェ12世(王)ー「娘の命を救ってくれた恩人。このくらいは当然だ。」
褒美を渡したところで王は続ける。
インナウ・リニツィオルーチェ12世(王)ー「お前たちせっかく来たのだ、この国を楽しんでいくといい。」
王の言葉に対して3人が返事をする。
イル・ユウー「はい。」
ビルー「おう!」
そしてインナウ・リニツィオルーチェ12世(王)がクラムに言う。
インナウ・リニツィオルーチェ12世(王)ー「クラム、3人にこの国を案内してあげなさい。」
王がそう言うとクラムは返事をし、王の間での会話は終了した。4人が王の間から出るとき、イルは真剣な顔で王の方を見ていた。
イルとは少し違うが、王もイルのことを少し気になっている様子だった。そして、王は使いに言う。
インナウ・リニツィオルーチェ12世(王)ー「あのものたちを監視しておけ。何かあればすぐに知らせろ。」
王の言葉に使いは答える。
王の使いー「はっ。」
一方、イルたちは王の言う通りクラムに街を案内してもらった。初めて街を見る3人にとってはどこへ行っても新鮮。終始興奮しながら街を回っていた。
一通り街を案内した後、クラムは言った。
クラムー「街案内は一通り終わりました。しかし、最後に1箇所だけお連れしたい場所がございます。」
そう言うとクラムは3人を連れ今までとは違う、お世辞でも綺麗とは言えない路地裏へと進みだした。複雑な路地を行くへにも進み、やっと着いたのは少しひらけた場所。一応王国の中ではあるが今までの雰囲気とはまるで違う。
とても静かで人気のない場所。そこに一人の小さな子供がクラムをみて走りだしてくる。
子供ー「あっ、クラム様だ!クラム様〜!!」
鍼師出す子供をその母親らしき人が止める。
母親らしき人ー「待って、まだだめよ!」
そんな母親らしき人にクラムが言う。
クラムー「大丈夫ですよ!この方達は決してみなさんを傷つけたりはしませんよ。」
クラムがそう言うと路地から続々と人が出てくる。ざっと数えても50〜60人はいる大人数だ。
路地人1ー「クラム様!来てくださったんですね、ありがとう!」
路地人2ー「クラム様!」
動揺しているイルたちにクラムが言う。
クラムー「この方達は国の身勝手な都合で一度国を追放された方達なんです。」
追放された人たちがこんなにもいるのかと思いながらイルたちは驚いた様子で人々を見る。ビルが無神経に言う。
ビルー「なんでこんな中心地から離れた人が誰も寄り付かないような場所で生活しているんだ?」
ビルの質問にイルとユウはそんな質問をするなと言わんばかりの顔をするが、クラムが笑いかけ、そして答える。
クラムー「実は、追放する際にその方の身元を徹底的に調べ上げるんです。そのため、一度追放されてしまうと国に入ることすら叶わなくなり、万が一入国できたとしてもすぐにまた追放されてしまうんです。」
クラムの発言にユウが要約して言う。
ユウー「つまり、追放が決定した時点でこの国を歩けなくなるってわけか。ちなみに、追放される人間の選別はどのように行なっているんだ?」
ユウの質問にクラムが答える。
クラムー「基本的には国に反逆の意思があると判断した人たちです。急変した現在の王の意向を良しと思わない人たちは国から追放されています。意向を示していなくても、急変した王と深く交流していた人たちも同じくー。」
クラムの発言に対してユウが再度質問をする。
ユウー「言っちゃ悪いが身勝手に国民を追放する国をお世辞でもいいとは思えない。なぜそこまでこの国にこだわるんだ?」
ユウの質問に路地人の1人が答える。
路地人3ー「実は、追放される時に”口止め”として私たちの家族を人質に取られるんです。そして、”この国の事情を外に喋れば人質は皆殺しだ”と脅されていて…。」
路地人3ー「しかし、国外に追放されれば二度と家族に会えるどころかこの国に入ることすら叶わない。そんな時にクラム様に助けていただいたんです。」
路地人の発言にイルたちは驚くと同時になんとも言えない怒りが込み上げてきた。怒りが爆発したビルは言う。
ビルー「なんだそれ!やってることがきたねーよ!」
ビルの発言に同意する一同。そして最後にクラムは言う。
クラムー「今話したことはどうか外で喋らないようにお願いします。ここがバレてしまえば、何をされるかわかりませんので。」
クラムの忠告に一同は頷く。そして、その路地裏での会話が済んだ後、再び街の中心地へと戻る。その様子をイルたちをつけていた王の使いがみている。
王の使いー「…。」
イルたちは中心地にあるクラムが紹介してくれた宿へと向かった。宿前まできたところでクラムと別れを告げ、3人は休むことに。
<宿での様子>
ユウが口を開く。
ユウー「この国の闇はかなり深そうだな。」
ユウの言葉に対してイルが言う。
イルー「そうだね。ここまでひどいとは思っていなかった。」
ユウやイルの言葉を聞いた上で、怒りを滲ませながらビルが言う。
ビルー「俺の怒りは収まらないぜ…!」
そんな会話をしていた時、急に外が騒がしくなったためユウがおもむろに外をみた。ビルは話している途中だがユウがさえぎる。
ビルー「二人がなんと言おうとおれはこの国を助け…。」
ユウー「そんな話をしている場合じゃなさそうだぞ!」
そう言うとイルとビルはユウがみている方向を見に窓まで駆け寄る。国の中で火事が起きている。起きている場所はどうやら、先ほどクラムと最後に訪れた路地裏のあたりだった。
その様子を見て鬼の形相でビルがホテルを飛び出る。そんなビルを追う形で二人もホテルから出た。

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