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ロザリオの過去やハウザーとの関係を聞いたイルたち。
ロザリオからの話により、ロザリオがテラスティア王国の王子であったことやハウザーとの因縁が数年にも及んでいること、”来たるべき日”にロザリオが殺されてしまうということなど多くの情報を手にした。
その上で、ハウザーに打ち勝ち、ロザリオの無念を晴らすためにもイルたちは夜遅くまで話し合いを行なっていた。
そんな濃い夜を開け、朝を迎える。ロザリオは誰よりも早く目が冷めた。
ロザリオは、おもむろにイルたちを見渡し、微笑んだ。そして、ゆっくりと立ち上がり森の中へと入っていった。
ロザリオが起きてから1時間、イルたちが起き始める。ロザリオがイルたちに声をかける。
ロザリオー「みんな、おはよぉ〜。」
ロザリオの言葉にみんなが答える。
イルー「ロザリオ、おはよう!」
ビルー「ん…うぅ…。おはよう…。(レーラに腹部を膝蹴りされて悶えている。)」
ライデンー「ロザリオ、おはよう!…ビル、どうした!?」
ビルの腹に膝蹴りをかましたレーラはスッキリした様子で言った。
レーラー「…みんな、おはよー!」
“おはよう”という言葉。当たり前のように使っていたはずの言葉がロザリオには懐かしかった。
ここ数年、ロザリオは仲間と気兼ねなく挨拶を交わすことはなかったからだ。ロザリオは自分の言葉に対して返事が返ってきたことがとても嬉しかった。
そんなこんなで挨拶を済ませイルが言う。
イルー「それじゃあ、準備ができたら出発だ!ハウザーの襲来により、安全なルートで移動したい!だから今日は、デフェロン王国まで飛んで行こうと思う。レーラ、よろしく!」
イルの言葉にレーラが返事をする。
レーラー「あいよ!…とうとう私の出番がやってきたようだわねぇ〜!」
自分の出番がきたことにレーラは喜びを感じている。
全員の準備ができ、レーラが神獣の姿に変身して言う。
レーラー「ほーら、乗った乗ったー!」
レーラに言われイル、ロザリオ、ライデンが背中に乗る。
しかし、ビルはレーラに乗ろうとしない。不思議に思ったレーラはビルに聞く。
レーラー「ビル、どうしたの?乗らないの??」
レーラの言葉に自信に満ち溢れた顔をして言う。
ビルー「おうよ!俺がここ最近、浮遊術を練習していたのはレーラも知ってんだろ?実はな、夕食を狩りにいっているときもこっそり練習していたのだー!!そして、俺は空を自在に飛べるようになった…レーラ、お前の力を借りなくても俺は一人で飛べるんだ、ぜ…!」
ビルは勝ち誇ったような顔をしていった。そんなビルにレーラが言う。
レーラー「あっそ。じゃあ、思いっきり飛ばすから離されずにしっかりついてきなさいよ!」
そう言うとレーラは瞬く間に空に浮かび上がり、ものすごいスピードで飛び出した。そんなレーラを見たビルは急いで浮遊術を使い、慌てた追い、言う。
ビルー「はっはや…ま、待ってくれー…!」
ビルは今持てる全ての力で浮遊術を使い、スピードを出す。そして、なんとかレーラに追いついた。
息を切らしながらビルがレーラに言う。
ビルー「…はぁはぁ、ど、どうだ…。このくらいのスピードなら俺だって追いつけるぜ…!(なんとか追いついた。)」
ビルのやせ我慢はレーラを含め全員がわかった。やせ我慢を理解した状態でレーラはビルに言う。
レーラー「わかったわ、じゃあ今度は少し本気を出すわよー!ちゃんとついてきなさい!」
レーラはさらにスピードをあげた。その様子にビルは驚いた顔で言う。
ビルー「…うぅ、ま、まってくれ…!」
ビルは力を絞り出すようにさらにスピードをあげた。それはもう、限界を超えるかのように。そしてなんとかレーラに追いついた。ビルは顔を真っ赤にさせながら言う。
ビルー「…ど、どう…だ…っ!追いついたぜ…!」
これだけ限界を迎えているビルがさらにやせ我慢を言う。その様子にレーラはまたスピードを出そうとする。しかし、すかさずビルが言う。
ビルー「ま、待て!!!レーラ、俺が悪かった、もうこれ以上スピードは上がらない…。むしろ、スピードを出しすぎて気持ち悪りぃ…。もうスピードを出さないでくれ…。そして、あわよくば俺も背中に乗せてくれ…。」
ビルは思いっきり弱音をはいた。そんなビルに対してレーラが言う。
レーラー「…最初の威勢はどこにいったのやら…。だっらしないわね!」
レーラのど直球の言葉に返す言葉もなく、ただただ傷ついた。落ち込んでいるビルを見てイルが言う。
イルー「ビル…。レーラのこのスピードでも、ユウだったら涼しい顔でやってのけるんじゃないかなぁ?」
悪魔のささやきだ。しかし、イルの言葉にビルは反応した。
ビルー「(ユウ…!)…よっしゃぁ!!俺はユウには負けねー!まだまだぁ!!!」
ビルはイルの予想通り単純だった。そんなビルの様子を見てイルが言う。
イルー「よく言った!よし、レーラ!もっとスピードをあげてくれ!」
イルの言葉にレーラが答える。
レーラー「あいよ!ビル…離されないようについてくるのよー!!」
レーラはさらにスピードをあげた。その様子を見てビルは口を開けて呆然とした様子で言う。
ビルー「(…あいつらは鬼だ…。いや、悪魔だ…戦った悪魔よりもこえぇ…。)」
そう言ってビルは今持てる全速力のスピードでレーラを追うのであった。
その様子をレーラの背中から見ていたライデンとロザリオは密かに思う。
ライデン・ロザリオー「(…恐ろしい…。イルとレーラを調子付かせないようにしなければ…。ビル(くん)、頑張ってくれ…。)」
これがビルが浮遊術を全員の前で初めて披露した瞬間であった。
この後、浮遊術の継続時間や移動スピードが大幅に上がったのは言うまでもない。
そんなこんなでしばらく飛んでいると遠くの方に王国が見えた。デフェロン王国だ。王国を見てレーラが言う。
レーラー「…みんな!デフェロン王国が見えてきたわよー!」
レーラに続き、イル・ライデン・ロザリオがデフェロン王国を確認する。ロザリオが言う。
ロザリオー「あの位置からなら少なくとも3日はかかるのに…。たった数時間で付いてしまうなんて…。」
ロザリオの言葉にライデンが言う。
ライデンー「…最近は慣れてきたが、俺も最初は驚きっぱなしだったぜ。…こいつらと一緒にいるときは常識が通じないって思っておいた方がいい。」
ライデンの言葉にロザリオは笑いながら言う。
ロザリオー「…そのようだねぇ〜。」
デフェロン王国が見えたタイミングで、後ろからレーラを追ってきているビルを確認し、イルが言う。
イルー「ビル、デフェロン王国が見えてきたぞ〜!早く追いついておいで〜!!」
イルの言葉に限界を感じながらもデフェロン王国を確認した。ビルは嬉しそうな顔をして心の中で言う。
ビルー「(あれがデフェロン王国か…。でっけぇ〜!!)」
そうしているうちにイルたちはデフェロン王国の前に降り立つ。イルが感謝の気持ちを込めてレーラに言う。
イルー「レーラ、ありがとう!」
レーラは照れた顔をしながらもじもじした様子で答える。
レーラー「…ま、まあ、レーラは当然のことをしただけだしぃ。褒められるようなことはしてないんだからね!」
レーラのツンデレに苦笑いを浮かべるイル。そのタイミングで、ビルが到着する。
ビルは相当疲れ切った様子。ビルは付いたと同時に大の字で横たわり心の中で言う。
ビルー「(…もう限界だ…。これ以上は無理だ、もう動けない。)」
そして、デフェロン王国をまじかで見てビルが続ける。
ビルー「…これがデフェロン王国かぁー!近くで見るととんでもないな!!」
ビルの言葉にイルが同調する。
イルー「あぁ。すごく大きい国だね!俺もワクワクしてる!」
イルたちは、空を飛び無事にデフェロン王国につくことができたのであった。

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