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聞き込みと情報共有を行なってから一夜明け、イルたちは早朝から”魔物の住まう洞窟”に向け出発することとなった。
あたりはまだ薄暗い。聞こえるのは風で木々が揺れる音と小鳥のさえずりのみ。改めてシーフォス村が大自然に囲まれた村であると実感する一同。
そんな森の中を3人は進んでいくのであった。
イルは村人への聞き込みの末に手に入れた洞窟の大まかな場所を示す地図を広げて言う。
イルー「俺が聞いた話だと、洞窟は村から歩いて2〜3時間のところにあるみたい。途中のルートには野獣が多く出現すると聞いたから気を引き締めていこう!」
イルの言葉にビルとライデンは真剣な顔をして頷く。そして、ビルが言う。
ビルー「野獣なんて俺が一瞬で蹴散らしてやるぜ!!!」
威勢の良いビルであった。
そこから一時間ほど歩いた、村と洞窟のちょうど中間地点で野獣と遭遇した。相手はベルラクーンという相手に変身して戦うことができるたぬきだ。
ベルラクーンの前にビルが立つ。ビルはベルラクーンと戦うつもりだ。
そんなビルを横目にベルラクーンはイルたちを見渡し、ビルではなくライデンを見て、ライデンの姿に変身した。(完璧に変身します。)
その様子を見たイルが言う。
イルー「ビル、お前あのたぬきになめられてるぞ。笑」
ベルラクーンの様子とイルの言葉を聞き、必死で笑いを堪えるライデン。そして、ビルが怒りを込めて言う。
ビルー「…。どいつもこいつもなめやがって…!イル、ライデン、お前たちはあとでゼッテーぶっ飛ばす。その前に一番俺をバカにしてるこいつをコテンパンに叩きのめしてやる…!!」
そいういうとビルはライデンの姿をしたベルラクーンに向かって斬りかかった。
しかし、ビルの思い通りにはいかなかった。ベルラクーンはライデンの姿になっただけではなく、ライデンの力までコピーしていたのだ。
ビルの攻撃を難なくかわし、反撃をするベルラクーン。正直厄介な相手だ。ビルが言う。
ビルー「なかなかやるな…。しかし、それだけでライデンと同じだと思ったら大間違いだぜ。」
ビルはそう言うと、力を使い足を強化。超スピードでベルラクーンを翻弄した。その後、ベルラクーンがビルを見失った一瞬の隙を見て力を腕に凝縮。凄まじいスピードで剣を振り下ろし斬撃を放った。
しかし、その攻撃ではライデンの姿をしたベルラクーンには届かない。ベルラクーンは剣で攻撃を弾いた。
その瞬間、ベルラクーンの背後に回り込んでいたビルが後ろから斬りつける。攻撃はクリーンヒットした。ベルラクーンは元の姿に戻り倒れた。ビルの完璧な勝利だった。
ビルが言う。
ビルー「ライデンはもっとつえー。マネでなんとかなると思うなよ。」
ビルの完璧なまでの戦いっぷりにライデンが賞賛の声をあげる。
ライデンー「ビル、そんな攻撃パターン俺との特訓の時は見せてこなかったじゃないか!すごかったぞ!!」
イルもビルの成長っぷりに嬉しそうな顔をして思う。
イルー「(しっかり成長してくれているな。もっともっと吸収して強くなってくれ…。)」
その後、イルはべルラクーンの頭に手を置き、”変身の能力”を手に入れた。
<ベルラクーンの変身の能力>
一度見た相手の姿形、物理的な力までもマネすることができる。特別な能力まではマネすることができない。
ベルラクーンを倒し、再び洞窟に向け3人は歩き出す。
しばらく歩くと村人に教えてもらった洞窟付近まで来ることができた。その後は地図を頼りに洞窟を探す。
すると、ものの数分で洞窟を見つけることができた。
洞窟はかなり大きく、高さは15mほど。その上、先が見えないほど奥まで続いているようだった。
イルが言う。
イルー「この洞窟で間違いなさそうだ。ここから先は何が起きるかわからないから気を引き締めていくように。」
イルの言葉に緊張感が走る。3人は洞窟の中へと進んでいく。
洞窟の中は迷路のようになっており、かなり広かった。様々な道がある中で、イルはレテラスと思われるかすかなオーラを頼りに進んでいく。
洞窟内は決して真っ暗と言うわけではなく、様々な鉱石が光り輝き、人間の目でも周囲10mは見えるようになっていた。
10分ほど歩いたところでイルたちは扉を見つける。そして、イルが辿っていたオーラもこの扉の奥から発せられているようだった。
イルー「おそらくこの奥にレテラスがいる…はず。二人とも、準備はいいか?」
イルの言葉に二人ともゆっくりと頷いた。イルは扉を開けた。
内部は神殿のように作り込まれており、灯もあった。そして、一番奥に椅子が…。そこに座っていたのは、可愛らしい女の子(15歳ほど)だった。
その可愛らしい女の子はこちらを見て言う。
女の子ー「よくぞここまでたどり着いた。私はお主らが村を出てからこちらに来るまでの様子を全て見ていた。」
女の子から禍々しいプレッシャーを感じた。今にも倒れてしまいそうなビルとライデン。それでも必死でこらえた。
しかし、そのプレッシャーも収まり、女の子が口調を変え言う。
女の子ー「私はね、レテラスっていうの。ここに来たってことはみんな私のこと知ってるってことだよね!?」
急な変わりように3人はびっくりした。しかし、まだ警戒を解けない3人は再び気を引き締めた。イルが言う。
イルー「あなた…がレテラス…なんだね。初めまして、私はイル、そしてビルにライデン、よろしくね。」
イルの言葉にレテラスが言う。
レテラスー「イルにビルにライデンだね!よろしくぅ〜☆」
相変わらずのレテラスの雰囲気に3人は解けそうな緊張を必死で繫ぎ止める。イルが続ける。
イルー「レテラス、私たちは村であなたの言い伝えを聞いた。そこで、神が絡んでいることを知って、あなたを置いていった神のことやあなたが何者なのか、それとなぜ今でもこの洞窟に住み着いているのか興味があってここに来たんだ。」
イルの言葉に陽気な雰囲気だったレテラスは真剣な顔をして言う。
レテラスー「なぜあなたがそれを聞くの?」
レテラスの言葉にイルが言う。
イルー「私はこの世界を正すために送り込まれた神の子ミリコスの一人。村で言い伝えを聞いたとき、レテラスと一緒に行動していた神は私のように何かの使命でこの世界にいたわけではないのではって思ったんだ。じゃあなぜ、神の世界を出なくては行けなかったのか、この世界で暮らす必要があったのかという疑問を晴らすために来た。」
イルは真剣だった。その雰囲気をレテラスも感じ取っていた。レテラスが言う。
レテラスー「あなたが神と言うことはわかっていたわ。じゃなきゃここまでたどり着けないものね。」
レテラスが続ける。
レテラスー「…わかったわ、話してあげるけど、聞いても後悔しないでよね!あと、後ろの二人はこの話を聞く責任を持ってね。」
いきなりビルとライデンにとてつもない緊張感が走る。しかし、覚悟を決めたように二人が答える。
ビルー「わかった。」
ライデンー「…。(頷いている)」
二人の覚悟を確かめてからゆっくりと話はじめた。

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