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リニツィオルーチェ王国を出発し、デフェロン王国と向かうイル・ビル・ライデンは森を歩いていた。ビルが言う。
ビルー「それにしても悪魔との戦いは燃えたな〜!血がさ、こう…吹き出すって言うかさ、煮えたぎるって言うか…とにかくすごい興奮した!」
ビルの言葉にライデンが言う。
ライデンー「私が見たのは最後だけだったが、ビルの戦いっぷりは実に豪快で見事だったぞ!」
ビルのことを甘やかすライデンにイルは厳しい言葉を言う。
イルー「ビルにとったら圧倒的に格上だった。向こうが動揺してくれたから勝てたものの一対一の勝負なら確実に負けていた。本当にラッキーだった。」
イルの言葉に悲しそうな顔をしながらビルが言う。
ビルー「それはわかってるけど…。」
落ち込んでいるビルを慰めるようにライデンが言う。
ライデンー「まっ、まぁ、悪魔に勝ってこうして生きているわけだ、今回はいいんじゃないか…?」
ライデンがそういった後、なんとも言えない空気が流れる。その後、イルは言う。
イルー「ビルには今よりもはるかに強くなってもらう必要がある。まさかこんなに早く格上相手との実戦経験がつめるとは思っていなかったけど、これからさらに強い相手と戦っていくことになる。そこで、今日から移動時間を割いて特訓をしていこうと思う!」
イルの言葉にビルは元気を取り戻したように言う。
ビルー「特訓!!それを待ってたんだよ!で、何をするんだ?」
イルがビルの質問に答える。
イルー「それは…。ー」
一連の会話が終わり、しばらく歩いたところでイルが言う。
イルー「今日の寝床はこの辺にして、これからここで特訓をしようと思う!」
イルの言葉にビルが嬉しそうに飛び上がる。イルが再び特訓について説明する。
イルー「さっきも伝えたけど、特訓は大きく分けて2つ。1つ目は実戦的な戦闘力の強化。肉体を強くしたり、剣術を極めたりって感じだね。相手はライデン。ビルが目指す男だ、不足はないだろう?」
ライデンとビルが微笑みながら頷く。イルが続ける。
イルー「2つ目は能力の強化。これは能力を強くするのとうまく使えるようにするために行う。この特訓に関しては、ビルだけじゃなく、ライデンにも参加してもらうよ。」
そう言うとイルはライデンの手を掲げ、能力を分け与えた。
内容を確認したところで早速特訓を開始する。最初は戦闘力強化の特訓だ。
<戦闘力強化の特訓>
ビルは全力でライデンに斬りかかる、がライデンは簡単に振り払い反撃をする。
ライデンの実力は凄まじいものだった。ライデンを見てイルは思う。
イルー「(ライデンはこんなに強かったのか…。)」
イルが思っているのと同じタイミングでビルが言う。
ビルー「ライデン、強すぎるよー。全然相手にならないじゃんか!」
ビルの言葉にライデンが言う。
ライデンー「ビル、お前が目指す軍大将は最低でも俺を超えなくてはならない。簡単に越えられる壁ならつまらないだろう。全力で登ってこい!」
ライデンに熱血指導にビルも熱意で答える。ライデンは自分の弟子を持ったみたいで楽しそうだった。
しばらくして戦闘強化の特訓が終了した。
相変わらずライデンは強く、ビルはいなされてばかりだった。悔しそうにビルが言う。
ビルー「結局一回も攻撃が当たらなかった…。」
悔しそうなビルにイルが声をかける。
イルー「それでいい。全力でライデンと戦い続けることで着実に強くなっていける。これから毎日やるから一歩ずつ前進していこう。」
イルの言葉にビルは真剣な顔で頷いた。イルは続ける。
イルー「戦闘訓練はこのくらいにして、次は能力強化の特訓だ!」
<能力強化の特訓>
戦闘強化の特訓を終え、次は能力強化の特訓に入る。
イルが言う。
イルー「能力強化と言ってもライデンはもちろん、ビルも能力の使い方はまだまだ。最初は自在に能力を引き出せるようになる特訓から始める。」
そう言うとイルはビルとライデンの目の前で実際に能力を引き出して見せた。体全体から凄まじい能力が湧き上がってくる。
イルが続ける。
イルー「こんな感じで、最初は能力を出すだけの特訓。ビルはもう出来てるけどもっとスムーズに能力を引き出せるようになってもらいたいから手を抜かずに参加してね。」
イルのオーラ解放にライデンが言う。
ライデンー「改めて見るとすごいな…。で、コツとかってあるのか?」
ライデンの質問にイルが答える。
イルー「コツは、”力を使うぞー”と言う感じだ!」
ビルはやっぱりと言わんばかりの呆れ顔でイルを見る。困惑しているライデンにビルが言う。
ビルー「具体的に説明するとだな、意識を集中させて周りにオーラを纏うイメージを作る。その後、そのオーラを体から噴きださせるように力を込めるって感じだな。」
ビルの説明になんとなく理解できたライデン。イルは腑に落ちたような顔で言う。
イルー「そうそう、それが言いたかった!」
ビルとライデンは呆れ顔でイルを見た。
能力の使い方に関する説明が終わり、ビルとライデンは早速特訓を始める。
すでに能力を使えるビルは当然ながら能力の出し入れができている様子。スムーズに能力を引き出し、そして抑える動作を何度も何度も繰り返した。
一方のライデンは能力を解放させるところから始まる…が、ユウと同様にセンスがずば抜けているのかものの数分でものにした。
そんなライデンを見てビルがひねくれたように言う。
ビルー「ライデン、お前もそっちの人間か。あー、いいさ俺はどうせ出来損ないですよーだ。」
そんなビルを見てライデンとイルが苦笑いをする。
その後も、一生懸命特訓を行い能力の解放はある程度早くなった。そしてこの日の特訓を終える。
疲れ切っているビルとライデンにイルが言う。
イルー「今日の特訓はここまで!能力の解放と抑制は今後も毎日やっていくから一生懸命取り組んでね。」
イルのスパルタ特訓が毎日続くことを想像した二人は少し嫌そうな顔をするが、やるしかないと覚悟を決め、頷くのであった。
特訓を終え、夕食にする。と、ここでイルが閃いたように言う。
イルー「そうだ、ちょうどいい!二人には夕食になる動物を1人1匹捕まえてきてほしい。」
イルは続ける。
イルー「捕まえる時の条件だけど、ビルは能力を使わずに、ライデンは剣を使わずに捕まえてくること。いいね?」
イルはこのタイミングでも実践経験を積ませるつもりだ。二人は納得したように頷き、森へと入っていく。
二人はしばらく森の中を探し回った。先に見つけたのはライデンだ。目の前には”カリヴァイノシシ”が。ライデンが言う。
ライデンー「(こいつはカリヴァイノシシ。体が鋼鉄のように硬いから、剣を使えない俺にとってはかなりの強敵になるってわけか。)」
ライデンが続ける。
ライデンー「(だが、さっきの特訓を活かせる絶好の相手でもある!)いくぜ、俺の夕食!!」
ライデンはカリヴァイノシシ目掛けて突っ込んでいく。
<ビルの様子>
一方のビルもターゲットを見つけ戦闘態勢に入っていた。相手は”ドロフォニアベア”。熊でありながらも小動物並みの俊敏さを兼ね備えている”森の暗殺者”と呼ばれる最強の動物だ。ビルが言う。
ビルー「(村に住んでいた時、こいつにあったら絶対に逃げろって言われてたっけ。でも、今の俺なら!)いくぜぇー!!」
ビルはそう言いながらドロフォニアベアに斬りかかる。
<ライデンVSカリヴァイノシシ>
ライデンのパンチがカリヴァイノシシに当たる。が全く効いていない。むしろライデンがダメージを食らった。
ライデンー「(くっそぉ、痛ぇーじゃねーか。)」
ライデンはまだ能力をどこかに集中させたりする方法を知らない。
しかし、カリヴァイノシシの鋼鉄の皮膚はオーラを身にまとっただけではダメージを与えられなかった。ライデンの頭の中にはオーラを拳に集中させて攻撃すればダメージを与えられるのではと言う発想が浮かんでいる。
ライデンー「(拳にオーラを集中させるには…。こんな感じか…?)」
ライデンは意識を拳に集中させた。すると思った通りに拳にオーラが集まった。
しかし、その瞬間突進してきたカリヴァイノシシに吹っ飛ばされてしまう。オーラを拳だけに集中させていたため、体は無防備な状態だった。
ライデンー「(次生身で受けたら流石にやべぇな。一発で決めるしかない。)」
ライデンはカリヴァイノシシの様子を見ながら、オーラを拳に集中させる瞬間を伺っている。
その時、カリヴァイノシシがまたこちらに突進してきた。今回は避けられる。ライデンが言う。
ライデンー「よっしゃ、これで終わりだぁぁ!!」
ライデンは拳にオーラを集中させ、カリヴァイノシシの突進を避けた後、横っ腹に拳を叩き込む。パンチを受けたカリヴァイノシシはパンチの威力で吹っ飛んだ。それだけでなく、カリヴァイノシシの周囲は衝撃波によってボロボロになった。ライデンは思う。
ライデンー「…。こんなにやばい力だったのか…。」
ライデンは倒したカリヴァイノシシを持ってイルの元へ帰る。
<ビルVSドロフォニアベア>
その頃ビルは、ドロフォニアベアに苦戦していた。
ビルー「(やべぇ、全然攻撃が当たらねー。と言うより、相手が早すぎて姿も見えない…。)」
ドロフォニアベアにとってビルは獲物にすぎず、森の暗殺者としていつも通りの狩りを行なっていた。
ドロフォニアベアの狩りの方法は、実に効率的でシンプルだ。自身の身を隠しつつも相手の隙を見て攻撃。この動作をひたすら繰り返すだけ。
わかっていても止められず、ましてや攻撃を与えることもできない。ビルは考えた。
ビルー「(まずは、相手に攻撃を当てる必要がある。動きを止めたいが、どうすれば…。)」
ビルは閃いたように構えをやめ、目を閉じ始めた。
ドロフォニアベアはその隙を見逃さなかった。ビルの背後に忍び寄り、攻撃。
しかし、その攻撃をビルはいなした。そしてすかさず足を攻撃。ドロフォニアベアにダメージを与えた。痛そうにしている。
その様子を見てビルが言う。
ビルー「これで動きを封じたぞ!」
そしてビルはドロフォニアベアに斬りかかる。今のビルにはドロフォニアベアの攻撃を真っ向から受け、防げるだけの力はない。
相手の攻撃をかわしつつも着実に攻撃を当てていく。それしかできないのだ。
ビルー「(着実にダメージは与えている。最後まで気を抜かずに戦いきってやる!)」
ビルは気を抜かない。時間はかかったが、無事ドロフォニアベアを倒すことができた。しかし、ビルは不甲斐なさそうに思う。
ビルー「(一撃で倒せたらな…。)」
ビルは、ドロフォニアベアを能力を使って持ち上げながらイルの元へ帰っていく。
二人が獲物を持ち、イルの元へ帰ってくる。イルが言う。
イルー「二人ともお見事!明日もこうやって実践経験を積みながら食料調達していくよ!」
イルがとんでもないスパルタ教官だと言うことに気づき始めている2人であった。
2人の獲ってきた獲物を食べた後、就寝した。

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