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悪魔との決戦から時間が経ち朝を迎える。
今回の戦いが夜に行われたこともあり、国民でこの戦いを知るものはいなかった。
しかし、それでも戦いによる王宮の破損は著しく、早朝から復旧作業が行われていた。
<王宮内の病室>
戦いで傷をおったイル・ビル・ユウは王宮内の病室にいた。
イルとビルはそこまで傷はなかったが、ユウに関してはファスティムとの激しい戦いにより完治までに少し時間がかかるとのこと。イルが言う。
イルー「ユウ、完治するのに1週間かかるみたいだね。」
イルの言葉にユウが言う。
ユウー「あぁ、そうみたいだ…。」
ユウがそう言うとイルはすかさず言う。
イルー「それは普通の人間の話だね。神の力を得たユウは通常の人間と比べて治癒力が著しく向上しているんだよ。だから、その傷の感じから1日で完治すると思う。」
イルの言葉にユウとビルが驚く。ユウが言う。
ユウー「…本当か!?全くすごい力だな、これは…。」
少しの沈黙の後、ビルが言う。
ビルー「なぁ、イル。悪魔との戦いが終わった後、悪魔に手をかざして何かしていたけど、何をしていたんだ?」
ビルの質問にイルが答える。
イルー「俺の能力が”譲り受け取る力”だってことは前に教えたよね?これはあらゆるものから能力をもらえ、そしてあらゆるものに能力を与えることができる力なんだ。」
イルが続ける。
イルー「その力を使って悪魔から能力をもらってたんだよ。」
イルの能力の説明を聞いて改めてビルとユウは思う。
ビル・ユウー「(その力…ずる過ぎ。)」
その後、ユウはイルに尋ねる。
ユウー「じゃあ、イルは悪魔からどんな力を得たんだ?」
イルは悪魔から得た力を話し始めた。
イルー「悪魔から得た力は…ー」
イルが悪魔から得た力は全部で3つ。
①相手を思い通りに操る力※ただし一度に操れる人数は限られている。
②体を浮かせる力(常に空中にいれる)
③感知する力
それぞれ悪魔が戦いの中で使っていたものだ。そして、相手を思い通りに操る力以外はイルも使える力であった。そこでイルが言う。
イルー「体を浮かせる力をビルに、感知する力をユウに分けようと思うけど、異論はない?」
イルの言葉に驚くが、真剣な顔をして二人とも頷く。二人の許可を得て、イルは二人にそれぞれの力を分け与えた。
これでビルは浮遊術を、ユウは感知能力を手に入れた。
そうこうしていると病室に王とクラム、ライデンが現れる。王が言う。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「イル、ビル、ユウよ。今回は私を、そしてこの国を救ってくれてありがとう。」
王の言葉にビルが言う。
ビルー「元気そうでよかったです。」
ビルの無礼な言い回しにユウがすかさずダメ出しするが、王はその無礼を許した様子で続ける。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「私の中に入っていた悪魔は先代の王である私の父をも操っていた悪魔。そして、気付いた時には私のことを操り、国を危険な方向へと進めるような指示を私を通して出していたようだ。」
王はさらに続ける。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「悪魔に操られていたとしても、これは許されることではない。しかし、私がこの国の国王を辞めようにも次期国王候補がおらん…。」
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「そこで、今回の悪魔討伐で大活躍した3人の中から国王を決めたいと思うのだが、どうだろうか?」
王の話に3人が驚く。王はさらに続ける。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「もちろん、代々続いてきた王家リニツィオルーチェの後継から国王が生まれないとなると反発するものも出てくるかもしれん。しかし、私やクラムが推薦すれば国王として認められるはずであろう。」
王の言葉にイルが言う。
イルー「国王、流石にそれは色々と無理があると思いますよ。面白い話ですけど、国王がそのまま続けるべきです。」
イルの言葉に同調したようにユウが言う。
ユウー「幸い、今回の出来事を知る国民はほとんどいない。国民には悪いが、今回の件を隠蔽するのが一番良い策だと思うが。」
イルとユウの言葉に少しがっかりしながらも、ビルは言う。
ビルー「そーいうことで、俺たちは国王をするつもりもなければ、この国を救ったって自覚もないわけなんで気を使わず、今のまま国王やってください!」
全員の言葉に同調するようにクラムが言う。
クラムー「父上、私もそう思います。この国の国王は父上しか考えられません。」
全員の言葉を聞いた上で国王が言う。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「…。うむ。」
話が済んだところでライデンが口を開く。
ライデンー「国王様、王宮が大破した件については、犯人が必要かと思います。その犯人を私にしてこの国から追放してくれませんか?」
ライデンの衝撃の発言に王とクラムが驚く。王が言う。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「ライデンよ、良いのか…?」
王の問いかけに、ライデンが言う。
ライデンー「はい。私はこの国に家族がいるわけでもありませんし、国王のためとあれば喜んで犠牲になります。それに、イルくんたちの活躍を見て、軍大将の時の記憶が戻ってきまして。一緒についていきたいって思ったんですよ。」
ライデンが続ける。
ライデンー「と言うわけで、イルくん。私を仲間に加えてくれないかな?」
ライデンの突然の物言いにびっくりしたが、イルは答える。
イルー「もちろん、歓迎するよ!」
ライデンが仲間になった。
1日経った。国王はライデンの申し出どおり、王宮大破の罪をライデンに被せ、国外追放された。
また、路地裏の住人たちの元にライデンが解放した人質たちが帰り、再会を果たした。路地裏の住人たちにはクラム同行の元、国王が直接路地裏へ出向き、謝罪を行なった。その後、国王の命により、中心地へ住むことが決まり住まいと仕事を与えた。
ユウの傷は、イルの言った通り1日で完全に治り、いつでも出発できる状態となった。
<王宮の一室>
イルたちが出発の準備を行なっている。おもむろにユウが言う。
ユウー「イル…。この国を出てから俺は別の道を進んでも良いか?」
ユウの突然の申し出にイルはびっくりしたが、真剣な顔でイルが答える。
イルー「少し残念ではあるけど、ユウが望むなら。その代わり、俺の与えた力は世のため、人のために使うこと。これは約束だ。」
イルの約束に納得した顔をしながらユウが答える。
ユウー「…あぁ。」
ユウの発言にビルが悲しそうに言う。
ビルー「…ユウとは別々になっちまうのか…。寂しいな…。だけど、ユウが決めたことだもんな。」
悲しそうなビルを見てユウが言う。
ユウー「ビル、何辛気臭い顔してるんだよ。次会った時は、お前よりも圧倒的に強くなってるから覚悟しておけ!」
ユウの突然の強気発言にビルが言う。
ビルー「それは無理だな!なぜなら俺の方が強くなってるからな!」
二人は楽しそうに笑いあっていた。その様子を見てイルとライデンは微笑んでいる。
4人は、今日リニツィオルーチェ王国を出発する。

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