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<イルとビル>
しばらく王宮内を走っていると目の前に異様なプレッシャーを感じる部屋を見つけた。
イルが王から感じたオーラとも一致する。この中に王を操っている悪魔がいる。
イルとビルは緊張しながら扉に手を掛ける。イルがビルに言う。
イルー「ビル、行くぞ。」
イルの言葉にビルは頷く。そして、二人は扉を開け、警戒しながら部屋の中に入った。
イルたちの入った部屋は王の間よりも広く、天井もかなり高い。王宮内で一番大きな部屋であることは間違いない。
部屋は薄暗く、視界が悪い。が、イルたちの視線の先にはまがまがしいオーラを放つ何かがいた。王だ。しかし、王は完全に悪魔に操られている状況だった。王を使って悪魔が吐き捨てたように言う。
悪魔ー「きたか。途中でファスティムを用意していたが無駄だったみたいだな。」
悪魔が続ける。
悪魔ー「まあいい、お前たちを私が倒せばいいだけの話。さぁ、どこからでもかかってこい。」
悪魔は言った。しかし、身構える様子もない。それでも隙はなかった。かなりの力を持っているようだった。
そんな悪魔と退治しているイルとビルは緊張しながらもかなり冷静だった。
悪魔を倒す手順はこうだ。
①イルとビルが悪魔の隙を作るために攻撃を繰り出す。
②悪魔が隙を見せたらイルが王の体に触れ、悪魔を王から引き剥がす。
③悪魔との一騎打ち
イルとビルはその手順が頭の中に入っていた。二人は覚悟を決めたように頷く。その瞬間、悪魔に向かって力を使い超スピードで移動する。
言っていなかったが、ビルやユウが使える肉体強化はイルをはじめ、全ミリコスたちが使える基本技だ。当然イルも使える。
先にビルが悪魔に仕掛ける。ビルが言う。
ビルー「いっけぇぇぇぇぇー!!」
ビルが悪魔めがけて斬りかかる。悪魔も王の体を使って剣を受け止める。
ユウよりは若干ぎこちないがビルも同様に力を使いこなせているようだった。
悪魔と剣を交える。悪魔が言う。
悪魔ー「これは驚いた。お前、神の力を使えるのか。まぁ、力を与えたのが誰なのかはあながち想像できるがな。」
そう言うとビルを蹴り飛ばし、背後から狙っていたイルの攻撃を避け、お腹にアッパーを食らわせた。
しかし、イルはそのアッパーを防ぐ。が、力が強く、天上へと吹き飛ばされてしまった。
イルー「ぐぅはっ。」
体勢を整え、ビルは再び悪魔に斬りかかる。
イルは手を前に出し、オーラを凝縮させ気弾を作った。その気弾を悪魔に放つ。
悪魔はそれに気づき、腕で防ぐ。煙が上がった。その隙にイルが天上から超スピードで悪魔めがけて向かっていく。
イルの作戦を察知したビルは悪魔がイルの攻撃を防げないように手数を増やし、またイルの方に意識を向けないように攻撃し続けた。
しかし、悪魔はビルの攻撃を全て防いだ上、上から迫ってくるイルを避けた。
イルが言う。
イルー「やっぱりそう簡単には行かないか…。わかっていたことだけど、大変だね。」
イルの言葉にビルが言う。
ビルー「悪魔なんてイルといなきゃ出会うこともなかった。俺は自分がここまで戦えるようになったんだって思うと嬉しくって身震いしちまうぜ!」
イルとビルが目を合わせ微笑み合う。そしてすぐに真剣な顔をし、悪魔の方を見る。
イルがビルに言う。
イルー「俺に作戦があるんだが…。ー」
イルがビルに作戦を話、ビルはその作戦に賛同し頷きながら言う。
ビルー「よし、わかった。その作戦でいこう。」
そう言うとビルは再び悪魔に斬りかかった。悪魔が言う。
悪魔ー「作戦会議はもういいのか?」
悪魔の質問にビルが答える。
ビルー「あぁ、お前なんぞにじっくり時間をかける必要もねーよ!」
ビルの言葉に悪魔は少々苛立った。
ビルが悪魔と戦っている間、イルは先ほどの気弾よりも大きいものを放つために意識を集中させていた。
そして、その気弾が溜まり、ビルに言う。
イルー「ビル、いくぞ!」
そう言うとビルは一度イルの方に下がった。その瞬間、溜めていた気弾を悪魔に向けて放った。悪魔は言う。
悪魔ー「またこれか。なんどやっても同じこと。」
悪魔が気弾を防いだその瞬間、その気弾の後ろにイルがいた。
イルが気弾を放った瞬間、イルの力を使ったビルがイルを乗せた状態で悪魔めがけて剣を振り抜いた。剣からイルが離れる瞬間にイルも超スピードで剣を押し返し、いつもの2倍以上のスピードで加速。気弾と同じスピードで悪魔の近くまで移動できたと言うわけだ。
悪魔が言う。
悪魔ー「お前、なぜそんなところにいる!?」
イルは悪魔に触れ、力を体に流し込む。王と悪魔はみるみる離れていき、やがて別々になった。悪魔が言う。
悪魔ー「おのれ、やってくれたな。」
イルたちは微笑みながら言う。
イル・ビルー「戦いはこっからだ!」
<クラム・ライデン>
一方イルたちの助けに向かうクラムとライデン。クラムが言う。
クラムー「ライデン、私は先ほど父上が誰かと話しているのを偶然聞いてしまったんです。それはー」
クラムが話した内容はイルたちが計画を立て、自分を攻めてくることや人質を解放しようとしていること、そして神の子イルがいると言うことだった。
その時、背後にいた父上の使いのものに捕らえられてしまい、牢に閉じ込められた、と。
クラムの話を聞いてライデンが言う。
ライデンー「その話が本当なら向こうも計画を立てているはず。なおさら危ないですね。」
さらにクラムが続ける。
クラムー「そして、父上がどこで待ち構えているかも知っています。そちらへ急ぎましょう。」
クラムとライデンは悪魔とイルたちが戦っているところまで走っていく。
<イル・ビルVS悪魔>
王と悪魔の引き離しに成功したイルたちはこれから戦いの本番を迎えようとしている。
悪魔が言う。
悪魔ー「正直、ここまでやるとは思っていなかったぞ、人間。そして神の子よ。しかし、ここまでだ。出番だ、お前たちよ。」
悪魔がそう言うと周りから悪魔に操られていると思われる軍人たちがたくさん出てきた。
しかも悪魔の力によって攻撃力やスピードも上がっている。イルが言う。
イルー「これは厄介だぞ…。」
その時、後ろの扉が開く。悪魔が言う。
悪魔ー「なんだ?」
そこにいたのは、クラムとライデンだ。イルたちとの戦いに間に合ったのだ。クラム、続けてライデンが言う。
クラムー「イルさん、ビルさん遅くなってしまいました。」
ライデンー「ここからは俺たちも戦うぜ!」
そう言うとライデンが近くの敵を斬りつけ攻撃。一瞬で倒す。その敵が落とした剣を持ち、クラムも参戦する。
クラムが言う。
クラムー「操られているみなさんは私とライデンで相手をします。イルさんとビルさんは悪魔をお願いします。」
クラムの言葉に、ビルが言う。
ビルー「言われなくてもそのつもりだよ!」
そう言うと悪魔めがけて超スピードで移動し、斬りつける。悪魔も腕ガードする。意外に硬く、ダメージが無いようだった。ビルが思う。
ビルー「(かってぇーな…。)」
悪魔が腕を振り、ビルは押し返された。体勢を整えるビルにイルが言う。
イルー「攻撃をするときに足に使っている力を全て剣に注ぐように意識してみろ!そうすればあの硬さも攻略できるはず!」
イルの言葉にビルは頷く。イルは続ける。
イルー「俺は相手の隙を作る。ビル、お前があの悪魔を倒せ!」
そう言うとイルは飛び出し悪魔に超スピードで向かっていく。
イルの力の使いこなしは見事で、攻撃する際は力を拳に集中させてパンチを、防御の時は攻撃モーションのを見計らって事前に攻撃のくる場所を予測し、力を体に貼る。
その様子をビルは見ている。
そして、攻防を繰り返すイルが悪魔に向けて手のひらをかざしまばゆい光を放った。その光を見た悪魔は視界を奪われあたふたしている。イルが言う。
イルー「ビル、いまだ!やれ!!」
イルの言葉よりも先に動いていたビルが悪魔を思いっきり斬りつける。
ビルー「(力を剣に集中させて…。)」
イルのアドバイス通りに力を込めて振り下ろした剣はとんでもない力を放ち、悪魔を切り裂くだけでなく下にも衝撃を与え、ボロボロに砕いてしまった。
イルー「(ビル、力込めすぎ…。)」
その後、イルは悪魔に近づき手をかざす。どうやら能力を得ているようだ。
悪魔を討ってから王が目覚める。
王(インナウ・リニツィオルーチェ12世)ー「…ここは…?」
王が目覚めたことに喜びクラムが言う。
クラムー「父上、目が覚めてよかった…。」
操られていた軍人たちも正気を取り戻し、悪魔討伐作戦は成功に終わったのであった。

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